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実説 城谷怪談 撰集九十二
- Narrated by: 城谷 歩
- Length: 1 hr and 42 mins
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Publisher's Summary
実説 城谷怪談
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「その時いたよ」(29分)
鹿児島県の離島で生まれ育ったまゆみさんは、中学を卒業すると衛星看護科のある高校に進学し将来看護師になるべく勉学にいそしんでいた。
大きな学校で他県からの進学者も多いことから寮が八棟もある。新しい寮と古い寮が混在しており、まゆみさんは古い寮に入寮していた。
一年生だった二月か、三月のこと。三年生は卒業し寮を出て、二年生は修学旅行で、寮には一年生しかいなかった。
気のゆるみから皆深夜まで他室を訪問したりして遊んでいた時に、Bちゃんという同級生の部屋を訪ねることにした。
Bちゃんはちょっと曰くのある三〇八号室に住んでいたのだが……。
「空き家 前編」(24分)
Mさんは二十年以上前のことになるが大手の地図製作会社で調査員の仕事をしていたことがある。
不動産業者や配送業者が使えるような世帯主の名前が入っている地図だ。
毎年各営業所に割り当てられた地区に出向き一軒一軒人の手で確認をし、世帯主に変更がないか、空き家はないかをチェックするのだ。
その年、新たに担当する地区には住宅街と、少し街中から離れた山間部の三軒並んだ家があった。
Mさんはアルバイト数人に住宅地を任せ一人で山間部の家を目指した。
人里離れた三軒は手前の家はすでに空き家。
真ん中の家は、ボロボロだがまだ人が住んでいるようだったが、地図の名前と表札の名前が違っていて確認するために母屋の裏手に回ってみると……。
「空き家 中編」(21分)
真ん中の家の母屋の裏手の勝手口に据えられていたポストに書かれた家主の名前は前年の地図にある名前と一致し一安心した時、汚れた勝手口のガラス戸から中が見えた。
古い土間、昔ながらの洗い場、正面には板の間があるが台所にもかかわらずその板間には炬燵があり、夏だというのに八十代くらいのお爺さんが炬燵に入って迎えにある電源の入っていないテレビをポカンとみている。
一応と思い声をかけたが老齢のせいか、あるいは認知症のためか反応がない。
致し方なく最後の一軒を訪ねた。ほかの二軒と違い新しめの住宅から出てきたのは六十年配の主婦だった。聞けば隣とは親戚同士だというが、隣は一人住まいだったお爺さんが先年亡くなって以来空き家だという。
「空き家 後編」(26分)
そんなわけがない。今隣の家の台所にお爺さんが座っていましたと伝えると、件の主婦はひょっとしたらホームレスか何かが住み着いているのかもしれない、怖いから一緒に確認についてきてほしいという。
Mさんは再びその主婦と隣家を訪ねる。が、どこにも人はいないし、すべての出入り口や窓には鍵がかかっていた。
キツネにつままれたような思いで再び勝手口に来ると、主婦が思い出したように中の壁にかかっている写真を指差した。そこにはあのお爺さんと奥さんと思しきおばあさんが笑顔で写っていた。
ではきっとあのお爺さんの霊を見たに違いないとその場は終わったのだが、一年後更なる驚きがMさんを待ち受けていた。
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「その時いたよ」(29分)
鹿児島県の離島で生まれ育ったまゆみさんは、中学を卒業すると衛星看護科のある高校に進学し将来看護師になるべく勉学にいそしんでいた。
大きな学校で他県からの進学者も多いことから寮が八棟もある。新しい寮と古い寮が混在しており、まゆみさんは古い寮に入寮していた。
一年生だった二月か、三月のこと。三年生は卒業し寮を出て、二年生は修学旅行で、寮には一年生しかいなかった。
気のゆるみから皆深夜まで他室を訪問したりして遊んでいた時に、Bちゃんという同級生の部屋を訪ねることにした。
Bちゃんはちょっと曰くのある三〇八号室に住んでいたのだが……。
「空き家 前編」(24分)
Mさんは二十年以上前のことになるが大手の地図製作会社で調査員の仕事をしていたことがある。
不動産業者や配送業者が使えるような世帯主の名前が入っている地図だ。
毎年各営業所に割り当てられた地区に出向き一軒一軒人の手で確認をし、世帯主に変更がないか、空き家はないかをチェックするのだ。
その年、新たに担当する地区には住宅街と、少し街中から離れた山間部の三軒並んだ家があった。
Mさんはアルバイト数人に住宅地を任せ一人で山間部の家を目指した。
人里離れた三軒は手前の家はすでに空き家。
真ん中の家は、ボロボロだがまだ人が住んでいるようだったが、地図の名前と表札の名前が違っていて確認するために母屋の裏手に回ってみると……。
「空き家 中編」(21分)
真ん中の家の母屋の裏手の勝手口に据えられていたポストに書かれた家主の名前は前年の地図にある名前と一致し一安心した時、汚れた勝手口のガラス戸から中が見えた。
古い土間、昔ながらの洗い場、正面には板の間があるが台所にもかかわらずその板間には炬燵があり、夏だというのに八十代くらいのお爺さんが炬燵に入って迎えにある電源の入っていないテレビをポカンとみている。
一応と思い声をかけたが老齢のせいか、あるいは認知症のためか反応がない。
致し方なく最後の一軒を訪ねた。ほかの二軒と違い新しめの住宅から出てきたのは六十年配の主婦だった。聞けば隣とは親戚同士だというが、隣は一人住まいだったお爺さんが先年亡くなって以来空き家だという。
「空き家 後編」(26分)
そんなわけがない。今隣の家の台所にお爺さんが座っていましたと伝えると、件の主婦はひょっとしたらホームレスか何かが住み着いているのかもしれない、怖いから一緒に確認についてきてほしいという。
Mさんは再びその主婦と隣家を訪ねる。が、どこにも人はいないし、すべての出入り口や窓には鍵がかかっていた。
キツネにつままれたような思いで再び勝手口に来ると、主婦が思い出したように中の壁にかかっている写真を指差した。そこにはあのお爺さんと奥さんと思しきおばあさんが笑顔で写っていた。
ではきっとあのお爺さんの霊を見たに違いないとその場は終わったのだが、一年後更なる驚きがMさんを待ち受けていた。
©2022 Wataru Shirotani