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黒手組

Written by: 江戸川 乱歩
Narrated by: 西村 健志, でじじ
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Publisher's Summary

これは私の友人、明智小五郎の手柄話の物語である。
解読不可能な暗号が解決へ導いた事件であった。

私がその事件に出会ったのは、物書きをするため熱海の温泉地へ出向いていた時だ。
世間では「黒手組」と名乗る賊が暴れまわっており、毎日のように「あの貴族が襲われた」「あの家の令嬢が誘拐された」と新聞記事を賑やかせていた。
その記事のひとつに私の目は奪われた。
そこに書かれていた被害者は私の伯父だったのだ。
伯父の娘、私の従妹にあたる富美子が黒手組に誘拐されたという。

私は急ぎ伯父の家へ向かい話を聞くと、黒手組からの身代金を支払ったのに富美子は帰ってこないらしい。
私は友人である明智の知恵を借りようと連絡を取ると、明智の方でも黒手組を調べているところであった。

明智は伯父から誘拐された日の富美子のこと、賊に身代金を渡した時のことなど、様々な話を聞き不思議なことに気付いた。
身代金受け渡しの時、賊の足跡がなかったというのだ。
他の者の足跡はあるのに賊の物だけが見当たらない。
そして富美子に届いていた暗号めいた手紙。

これらの謎を明智は見事解き明かすこととなるが、富美子は無事に帰ってくるのか?
黒手組の本当の目的とは?

ひとつの事件に絡まりあういくつもの思惑。
コーヒーの豊かな香りの中、明智の凄さを私は再び目にすることとなった・・・。
©2021 PanRolling

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